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中日新聞 コラム 第9回

障害者歯科健診 幼少期から虫歯予防を

志村 延亮理事

浜松市歯科医師会では市と連携してさまざまな歯科健診事業を行っていますが、十分に利用されていないのが実情です。その理由の一つに、虫歯はたいした病気ではないので痛みが我慢できないので痛みが我慢できなくなったら受診しよう、と考えられているのが原因かもしれません。
ところが社会生活に適応困難で、さらに知的や発達の遅れのある人にとって歯科受診を遅らせることは、本人と歯科医師の双方に良くありません。 治療自体を難しくさせたり、複雑化させたりして、長期間にわたる可能性が出てきます。
特に幼少期に障害がある子供の親は、わが子の所具合を受け入れる心の葛藤や命を守ることで精いっぱいでしょう。 疾病の治療や発達の訓練など幾多の療育も続きます。その上で、歯のことまでお願いするのは酷なことかもしれませんが、ぜひ歯に関心を持ってください。食べることは成長の手段です。どうか一歳六ヵ月児、二歳児、三歳児での健康診断を受けてください。歯については、過保護になっても一向に構いません。親子で定期健診を受けていただき、そこで日常の歯のケアを覚えてください。
乳歯が生まれて、生え替わるまでのドラマチックな成長の過程を、本人や家族、歯科医師の三者で見守り、大人になってからもその習慣(定期健診)を持続させましょう。そのためにも気軽に通えるかかりつけ歯科医師を見つけてください。そうすれば、虫歯という後天性障害も、きっと予防できます。