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中日新聞 コラム 第8回

歯科訪問診療

龍口 幹雄理事

歯科訪問診療についてご存知ですか?
これから迎える超高齢社会において在宅療養している方が日常の中で、安心して快適な生活を過ごすことが必要です。
例えば、入れ歯の調子が悪いのに歯科医院まで通院することができないため、我慢して調子の悪い入れ歯で食事をしている。
これでは食事量が減り低栄養の原因となってしまい、快適な療養生活を送ることはできません。
歯科訪問診療とは、精神的、身体的な理由によって歯科医院へ通院することが困難な方のために歯科医師が患者さんのところに出向いて行う歯科診療のことです。
在宅で療養している方が入れ歯を紛失してしまった場合でも歯科訪問診療で入れ歯を作ることができます。
入れ歯が壊れてしまった場合など、壊れた入れ歯を捨ててしまう場合がありますが、歯科訪問診療で修理することも可能な場合があります。
また、虫歯の治療や入れ歯の調整だけでなく、歯科衛生士が訪問してブラッシングなどの口の中の清掃指導やおいしく食べることができるように口の機能を維持し、向上させるための口の体操の仕方などを指導することも行います。

ただし、歯科訪問診療には限界があることも知っておいてください。歯科訪問診療では照明設備も不十分ですし、診療機材や薬品の関係もあり、歯科診療室で行う診療のように全ての処置を行うことができるわけではありません。
治療の内容やお体の状態によっては、通院での歯科診療や入院施設のある大きな病院での治療の方が適切なこともありますので、ご理解ください。
通院できないからと治療をあきらめてしまわずにまずはかかりつけ歯科医院にご相談ください。