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中日新聞 コラム 第4回

活躍の場 今後も拡大

鈴木慶太理事

歯科医院の診療では、われわれ歯科医師とともにチーム医療にかかせないのが歯科衛生士です。三大業務には、治療器具を準備して歯科医師をアシストする診療補助をはじめ、歯垢や歯石を除去したり歯の表面をクリーニングしたりする予防処置、患者へ歯のブラッシングや歯間ブラシの使用法などを説明する歯科保健指導があります。
長年、歯科医院に訪れる患者さん中心にこれらの治療や処置を行ってきましたが、近年は妊娠中の母親から乳幼児、学齢期、成人、壮年期、高齢期と全てのライフステージで、口の病気予防に重点をおく地域歯科医療を行う時代に変わってきています。日本歯科医師会でも、①歯の治療から食べる幸せへ②歯から口腔へ③診療室から必要な人の所へ―と、三つの柱を掲げています。しかも、超高齢社会を迎えて在宅での療養が推進され、歯科の介入はますます必須の状況になっています。
歯科衛生士による口腔ケアの効果によって、死亡原因の上位にある誤嚥性肺炎の予防や、口から食事を取るという事で命をつなぐのみならず、生きる力の励みになっていくと思います。生活の質の向上によって、最期まで人間として生命の尊厳を守り、人生を楽しんで生きたいという期待に応えるため、口腔内の治療という事だけではなく、予防や地域歯科保健活動、介護の分野でも多職種と連携していく歯科衛生士の活躍する場面はこれからさらに広がっていきます。