「医療的ケア児や重症心身障がい児に歯科ができること」
医学の進歩を背景として、NICU等に長期入院した後に人工呼吸器や胃ろう等を使用し、痰の吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童(医療的ケア児)は、全国に約2万人いると推計されています。今後の医療の進歩により、医療的ケア児はさらに増えることが予想され、これら増え続ける医療的ケア児が、その心身の状況に応じた適切な保健、医療、福祉その他の各関連分野の支援を受けられるよう、各関連分野の支援を行う機関との連絡調整を行うための体制整備が始まっています。歯科に何が求められているのでしょうか、また、地域の歯科医院で何ができるのでしょうか。本研修会は、歯科医師、歯科衛生士、行政職員をはじめとする、医療的ケア児や重症心身障がい児に関わる皆様に小児科医、障害者歯科専門医、臨床医のそれぞれの立場からのお話を聞いていただければ幸いです。
「知っておきたい 医療的ケアの基礎知識」
浜松医療センター小児科部長 宮本先生
2021年6月、医療的ケア児支援法が成立したことにより、医療的ケア児の生活を保証することは「社会の責務」となりました。今後、医療的ケアに携わる職種にはより専門的な知識をもって支援体制の構築に参加することが求められることになると考えられます。この講演をその一助としていただけましたら幸いです。
「医療的ケアが必要な方の口腔管理について」
浜松市口腔保健医療センター所長 伊藤先生
医学の進歩に伴い、以前は病院での生活を送られることが多かった医療的ケア児も、在宅で生活される方が増えています。医療的ケア児はその特性から、口腔管理の際にも様々な配慮を必要とします。しかし、それは特別な道具が必要ということではなく、明日からでもできることばかりです。医療的ケアを必要とする方が地域で安全に口腔管理を受けられるようお話させていただきます。
「私の医療的ケア児への対応」
渋谷デンタルオフィス院長(浜松市歯科医師会会員) 渋谷先生
2021年9月に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が施行されました。これにより歯科医師、歯科衛生士も医療的ケア児の歯科的対応が求められるようになりました。歯科診療内容は在宅人工呼吸器管理を行っている患者調査(平成29年度)から口腔清掃指導、摂食機能療法、歯石除去などが主であり、今回は実際の症例を交えながら講演させていただきます。